試作における技術とは
設計開発の段階では、何回か試作を重ねて形状を確認し、設計に変更を加えて都度修正していくわけですが、そうした試行の度に製品に組み込まれる部品と寸分違わず同じ物を作っていては、コストが掛かりすぎてしまいます。
設計開発段階の試作評価では、実際に量産される部品の中の確認したいポイントを押さえた試作方法を選ぶことで、試作のコストダウンに繋がります。
以下では、設計者が正しく試作について判断を行うために、知っておくべき試作の技術的基礎知識について解説していきます。
ラピッドプロトタイピング
かつて試作品を製作するのはモデラーと呼ばれる熟練工でした。
彼らが磨き上げた技術で以って、手作業、あるいは木工機械を使用して木製の試作モデルを作製してきたのです。日本の製造業が発展した理由の一つには、試作に限らず、こうした熟練工が数多く存在したことにあるとも言われています。
しかしIT化や技術進歩に伴い、製品開発サイクルが早まり、設計はほとんどがコンピュータ上で行われ、数値入力をすれば瞬時に寸法変更できるようになっています。
このように、製品開発のスピードが増した環境下で、試作を依頼してから納期まで1ヶ月~2ヶ月掛かっていては、競合他社や市場のニーズに応えることは困難です。こういった要請から生まれた1日~1週間程度の短期間で試作品を造形する技術をラピッドプロトタイピングと呼びます。
試作のみならず、成形物を実用部品として用いることができるような、ラピッドマニュファクチャリング(RM)もこの先利用が増えていくと思われます。
特にこれから期待されているのが、金属部品・型・工具類の直接造形であります。これらの工業用部品の迅速な作製はラピッドツーリングと呼ばれ、研究開発が盛んな分野となっています。